真相/横山秀夫/双葉文庫
深いため息が何度も何度も…度★★★★★
しあわせいっぱい逃げちゃった(T_T)
真相の、そのまた真相にやられます。
真相 双葉文庫
横山秀夫(著)
「真相」「18番ホール」「不眠」「花輪の海」「他人の家」
5編収録。
個人的には、「花輪の海」に関して思うことがある。
主人公テルはS大空手部だった。その合宿中ある悲劇に遭い、12年経った今もその出来事に悩まされ続けている。
新入部員23人のうち、残った部員は6人だった。酷い暴力支配に耐えられず退部した人間は、辞めてもなお付け狙われ、とうとう大学をも辞めざる得なくなった。
合宿にやってくるOBの酷い振る舞い。OBが来たことによりいつも以上に「夜襲」をかける三回生が張り切る。
6人は精神的にも体力的にも参っていた。その矢先、事件は起きた。
物語の冒頭。テルは、就職先の面接で、
「あなたにとって、これまで一番嬉しかったことはなんですか」
と問われる。テルは思う。
「友人が死んだとき…。」
何があったんだろう…。
この真相を知ったとき、壮絶な彼らの葛藤に鳥肌がたった。
運動部はどこにでも、伝統や気合だといっては無意味に感じるような“しごき”があるのだろう。
確かにワイワイ楽しくだけがスポーツではないし。厳しさは分かる。
わたしは学生時代いちよ運動部連盟(S大ほどきびしくないから比較にならないんだけど(^^;))に所属していたけれど、今となれば和やかな思い出だけがよみがえる。
礼儀!みたいなことで怒られたりしたこともあったし、先輩の前では緊張して泣きそうになったこともあった。
特に1年生は○○会やら○○祭やらの行事に絶対参加が多々あって、とにかく忙しかった。
びっくりするほど押忍の掛け声が飛び交うお酒の席での、舞や節や学ランや下駄も、今となっては涙が出るほど懐かしい。
それでいて練習や合宿のときは不出来な自分に悔し涙を流したり、夢中になって一生懸命やった(ときもあった)なぁ。。。先輩後輩に会いたいなぁ。みんな元気かなぁ。
なんて思ったりしたら、テルの同級生石倉の気持ちが(行きすぎてはいるけれど)なんだかよぉく分かってすごく切なくなった(T_T)苦を共にした友とのつながりは、そう簡単には消えないはず、と。
同期や先輩、後輩との楽しい時間が、人生最高の思い出になってるからわかる。
何万円おごってもらったか、何万回笑わせてもらったか、何万個感激をもらったか…(*^^)
人間と人間のかかわり合いとは言えない“夜襲”の緊迫感がひしひしと伝わってくる。ラストは、ほんとにながーーーいため息が出た。。。
いっぱい「花輪の海」のこと書いたけれど、他の4編も実は相当なため息作品。
「真相」は、真相の真相に揺れ動く人間の想いに押し潰されそうになった。
「18番ホール」なんかは、猜疑心が膨れ上がったときの人間があまりにリアルに感じて怖くて涙でた。
「不眠」も、愚かさに気付いたときの人間の思いがけない行動に、他人事ではないと震えた。
「他人の家」なんて、ラストの対決で思わず私まで手が出そうになった…。
どれもこれも短編とは思えない!長編を読み終えた気分になった。
あーどっと疲れた(^^:)
コメント
たこやきさんこんばんは。
わたしもです。あまりに濃密なストーリーで短編だったことを忘れてしまうような感覚になりました。もし長編にだったらぐーったりしちゃいそうですね(^^:)
どれも読み応えじゅうぶんですよね☆ こんばんは。
この作品収録の5編、全て短編とは思えない濃密さですよね。読みながら、「これ、長編でじっくり書いても良いのに。ここでネタ使っちゃって良いの?」とか思いました(^^;)
凄く読み応えがありました。
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2006年10月27日 たこの感想文